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九条葱の特徴は青い部分も柔らかくて、美味しく食べられることです。夏は少し硬くなりますが、冬は中に「あん」と呼ばれるネバネバした液を含み、煮ればとろけるように柔らかくなって本当に美味しくなります。 私に何が食べたいかとたずねられたら、「良い九条葱としんじょう(はんぺん)の煮つけ」と答えるほどです。(大抵の人は、特上の牛のサーロインステーキ、と答えるのではと思いますが。) ところがこの頃、九条葱が変化してきました。冬になっても柔らかくなく、中に「あん」が入ったものがなくなってきました。夏でもないのにバシバシして、まるで柴を噛んでいるようなものが多くなりました。 これを書いたのは、先日、家内がその硬い九条葱に辛抱たまらなくなり、私の店のとようけ茶屋では九条葱を使っているにもかかわらず、家用には白葱を使うようになったからです。 出入りの八百屋さんに「お金はよいから、あんの入った美味しい九条葱はないか」と何度もたずねると、「あんが入っていると、切りにくいと言わはります。」との答えです。このようないきさつから、今後の九条葱や京野菜全体がどのようになるのか心配です。九条葱がよくないのは、私の店だけなのかも知れませんが。 京都には名店といわれる料理店が多くありますが、それぞれのお店ではどうでしょうか。京都府の農政関係者、生産者、販売者、種の提供者そして消費者の皆様に、お尋ねいたします。 ─ 追 記 (2022年2月16日) 今年の1月中頃より農薬不使用の九条ねぎの生産者を見つけて農薬を使っていない九条ねぎを使っていますが、これも寒い間だけで暖かくなると作らないと云っています。非常に柔らかく美味で、青い所もとろけるようになります。(柔らかくてカサが出ないので高くつくと云う料理人もあるかと思うのですが。)出来る限りこれを使っていきたいと思います。
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